会社を作らず、事業をする場合(個人事業)、適法であれば基本的にどんな事業でも行うことができます。それは、人には経済的な自由があるからです(憲法に明記されています)。
会社は、人ではないものに、法律で自由や権利を与えたものです。多くの資金を集め、大規模に事業を行いたいという実際の必要性に応じて作られた存在です。
会社は、多額の資金と大規模な経済活動を想定して作られていますので、当然、個人より社会に大きな影響を与える存在です。過去の公害の事例や、世界規模の不景気を引き起こした企業の破綻事例などを考えるとわかると思います。
そのため、人と全く同じ自由を与えることはできません。様々な理由から、様々な規制がかけられています。
会社は、あらかじめ定めた「目的」の範囲内でしか活動できません。
「文房具の販売」だけを目的とした会社が、飲食店を経営することはできません。
もし、このような会社が飲食店を開いたとしても、それはその会社の行いえない事業であるので、材料の仕入れの契約や、お客さんに料理を出すこと(料理を出す契約)は無効、ということになってしまいます。
※判例では、目的遂行に間接的に必要な行為も含んで解釈する、とされているので、文房
具の「販売」とだけ記載してあっても、その仕入れや輸出入などは含まれると考えて良
いでしょう。
このように、会社の目的は重要な事項です。
会社を設立する際は、「これから行う予定の事業」「その事業を進めるうえで、行うかもしれない事業」を考えておくことが必要です。
また、私が会社設立登記のご相談を受けたときは、ご家族が将来やりたいことなどもお聞きするようにしています。ご依頼者のお子さんが、将来「ケーキ屋さんをやりたい」というご希望があれば、会社の一部門としてそのような目的を入れておくのも、夢があって良いでしょう。
なお、会社が事業を行う上で、行政関係の許可等が必要なことがあります。その場合、「会社の目的にこの文言が入っていること」という条件が付されていることがありますので、注意が必要です。